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vol.229 これから稼働する国税庁の新システムの開発とその威力

ビズサプリの久保です。

ネパールでは、ありえないほど凄まじい土石流が発生しました。世界のあちこちで山火事や熱波も発生しています。西日本では渇水が続いていましたが、東海地方以東は大雨続きです。

地球温暖化対策は世界全体が取り組む必要がありますが、やれるところからやるしかないと思います。日本では、消費税減税の財源がまだはっきりしませんが、税金で温暖化対策を誘導することも必要であり、炭素税が財源の一つなのですが、今のところ話題にもなっていません。直接の対策にはなりませんが、とりあえず、時価総額3兆円以上の上場会社によるサステナビリティ開示が今期から始まります。

さて、今回は、9月の連休明けから稼働する国税庁のKSK2システムについてお話したいと思います。

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■ 1.文祥堂とは
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文祥堂は、大正元年創業の銀座にあるオフィス家具や文房具販売の会社です。筆者は、国税庁のシステムに関わったことがありますが、国税庁ではこの会社はよく知られていました。

文祥堂は文房具の調達先ではなく、大口のシステム開発の発注先でした。KSKと呼ばれる国税総合管理システムを1990年頃にこの文祥堂が受注しています。この会社が再委託先として、日本IBM、日立、NECを使うという訳の分からない体制で開発されました。

日本の会社も含めた3社に発注することにしたところ、どこかに取りまとめてもらう会社が必要であったことから、銀座の文房具店を選んだということになります。なぜ、文祥堂なのかについては、謎のままです。最初の入札は競争入札をしましたが文祥堂1社だけが応札し、その後ずっと随意契約となっており、総額は3,000億円になったとされています。

実は、筆者がお手伝いしたのは、一部の機器の調達について文祥堂との随意契約ではなく、競争入札にすることを支援する仕事でした。

来週に稼働する新システムであるKSK2は、システム開発を区分1,2,3などに分けて、それぞれ一般競争入札を行い、アクセンチュア、NTTデータなどが落札しましたが、区分3はビー・エス・デーインフォメーションテクノロジー(BIT)という聞き慣れない会社が落札しました。「ビー・エス・デー」といえば、そう、、、文祥堂です。この会社は、KSK2の入札の前年にあたる2019年に設立された文祥堂の子会社です。やはり何かありそうな感じがしますが、真相は不明です。過去の実績がモノを言っただけかもしれません。

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■ 2.2つのシステムの違い
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現在使われているKSKでは、メインフレーム(汎用大型コンピュータ)を使用し、COBOLという昔ながらの言語でプログラミングされていました。日本IBM、日立、NEC3社のメインフレームシステムが並行して稼働していたようです。

新しいKSK2は、汎用的なOSによるオープンシステムを利用すると公表されていますので、WindowsやLinuxなどを使ったシステムであり、Javaでプログラムが書かれているようです。ようするにKSKのシステムを改良したのではなく、それを全部捨てて、新規に作り直した、ということになります。

国税庁によると、2025年3月にベンダー側の開発は基本的に完了しており、4月から一般的に受け入れテストと呼ばれる総合運用テスト(職員テスト)を開始し、ベンダーがバグの修正作業を行い、昨年10月からは実機を使ったリハーサルを始めています。リハーサルに丸1年掛けるという念の入りようなので、おそらく来週の本格稼働後も支障なく利用できるものと推察されます。

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■ 3.KSK2の何が新しいのか
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現行のKSKでは、税目毎の縦割りシステムで、税務職員が担当している税目以外のデータを、簡単には閲覧することができません。新しいKSK2では税目データが横断的に一元管理され、すべてのデータが納税者単位で一元管理されます。

このため、法人のデータとその代表者個人の所得や相続財産などのデータを分析し、法人の売上は低いのに、個人資産が急増しているとか、不動産所得が多いのに相続財産が少ないなどを検知することができます。ようするに、複数税目(所得税・相続税・贈与税・法人税)にわたる過去の申告データが横断的に分析され、申告漏れが速やかに検知されるようになります。

また、これまでは「税務署に戻らないと確認できない情報」がありましたが、調査先の現場からKSK2内の関連データを即時参照でき、効率的な調査が実施できるようになります。

システムが新しくなっても、データは引き継がれます。過去から蓄積されてきた膨大なデータはそのまま利用されます。2020年からシステム開発に6年も掛かったのは、過去のデータの取り込みに時間が掛かったためとも考えられます。

これまで活用しきれていなかったデータを、新システムで効果的に活用できることが、KSK2の最大の強みでないかと思います。この膨大なデータを税目横断的にAIが分析するのですから、脱税発見の最強のツールになると思います。

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■ 4.これからの税務調査が変わる
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現在、バックオフィス業務のセンター集中化が税務署内で進められています。センター集中により、現場の調査官が事務作業から解放されるため、1人あたりが担当する税務調査の件数が劇的に増加するとされています。これに加えて、KSK2により、税務調査先の選定が効率的に実施され、税務調査による税金の追徴額や追徴率が増加するものと予想されます。

税務調査だけでなく、行政指導として実施する郵送などによる「お尋ね」も増加することは間違いないでしょう。税務調査によって指摘を受けると、多額の過少申告加算税や重加算税が課されることもあります。心当たりのある方は、早めに税理士にご相談をお願いします。

本日もAW-Biz通信をお読みいただきありがとうございます。

カテゴリー
会計
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その他
執筆者
辻 さちえ
三木 孝則
庄村 裕​
花房 幸範​
久保 惠一​​
泉 光一郎

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