Vol.52 チームの業務の生産性 (2017年5月10日)
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【ビズサプリ通信】
▼ チームの業務の生産性
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ビズサプリの三木です。
同じ人数であっても、世の中には生産性の高いチームと低いチームがあります。不思議なことに、能力の高い人だけ集めても効率が上がらなかったり、普段は目立たない人同士のチームが意外なほどの連携を見せて成功したりします。今回のメールマガジンでは、組織の作業効率を上げる鍵について考えてみます。
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■ 1.343(刺身)の法則とスーパーチキン
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343の法則、もしくは262の法則と言われている話があります。
たいていの組織は、付加価値を生み出す優秀な人が3割(もしくは2割)、プラスにもマイナスにもならない人が4割(もしくは6割)、むしろ足を引っ張る人 が3割(もしくは2割)という構成になってしまうという法則です。科学的な法則というより経験則ですが、会社勤めをされている方であれば「そうそう」という実感があるのではないでしょうか。それだけでなく、上位3割だけの選抜チームを作っても、その中がまた343に分かれてしまいます。エリート集団は必ずしも効率的ではないというわけです。
人間では実験が難しいですが、動物で似たような実験をした人がいます。パデュー大学のウィリアム・ミュア教授は、多数のニワトリ飼育かごを用意し、それぞれの飼育かごで最も卵をたくさん産む(=生産性の高い)ニワトリを集めて様子を観察したのです。 するとこれら“スーパーチキン”はお互いに突つきあって、相対的に弱いニワトリをつつき殺してしまいました。人間でいえばエリート同士の足の引っ張り合いです。もちろん生産性は全く上がりません。スーパーチキンの生産性は、他のニワトリを踏み台にすることで得られていたのです。人間社会にもありそうな 話ですね。 https://evolution-institute.org/article/when-the-strong-outbreed-the-weak-an-interview-with-william-muir/
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■ 2.「アリストテレス」プロジェクト
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2012年、Googleは社内改善の一環として、チームの生産性を左右している要因は何かを分析する「アリストテレス」プロジェクトを実施しました。メンバーが社外でどれくらい会っているか、趣味は似ているか、似たような教育を受けてきたか、性格は内気か積極的か・・・・ありとあらゆる要素を分析し、人間関係のチャートを描いても、これという要因がなかなか分かりません。あるチームでは生産性の高い人が他のチームでは非効率になることもあります。よくおしゃべりをするチームの効率が良い等の規則性も特に見られません。
苦心の末にプロジェクトがたどり着いた結論は、心理的安定性(psychological safety)でした。これは「自分の意見を言ってもバカにされたりしない」といった安心感のことで、ハーバードビジネススクールの論文などで提唱されている考え方です。
これにはリーダーの「器」が大事になってきます。全てを自分の意のままにしようとするリーダーの下では、チームメンバーは「怒られるのではないか」とビクビクして心理的安定を得られず、自分でリスクテイクをする決断ができません。情報を隠すようになり、全てについてお伺いを立てるようになれば意思決定のスピードも上がりません。
もう1つ大事なのは、飾らない自分でいられるかどうかです。これにはプライ べートな部分も関係します。 Googleの調査では、チームリーダーが「ガンで闘病中である」というプライベートをさらけ出すことでチーム内に「色々な話をしていいんだ」という安心感が醸成されたケースもあったようです。本業に関係ないストレスが無くなることで力の分散が無くなり、一体感が生まれていくというわけです。
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■ 3.余談〜山本五十六
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Googleの調査も興味深いですが、日本人の名言も捨てたものではありません。太平洋戦争で海軍の司令官を務めた山本五十六は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」といった言葉を残しています。戦争自体の是非は別として、部下からは「山本に半年仕えれば、一体感を持つようになる。仮に山本が危険に晒されたら反射的に命を捨てて守るだろう」というほど信頼感を得ていたようです。定量的なデータはありませんが、おそらく生産性も高いチームだったと想像します。
管理職になると「褒める」「任せる」ことの大事さや難しさに直面します。私も過干渉か放任になりがちで、自戒の毎日です。こうしたことは部下育成のためだけでなく、チームの生産性のためにも大切な ようです。
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■ 4.M&Aや合併後のシナジー
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こうした風土づくりはどんな会社でも重要ですが、近年はM&Aや合併も多く、ビジネス環境の変化も激しいため、頻繁に異文化がまじりあい、社員の心理的安定性が損なわれやすくなっています。技術を求めて買収したのに優秀な技術者が流出・・・といったことになっては 元も子もありません。
人事制度の統合、システムの統合、管理ルールの調整などやることは大量にありますが、M&Aや合併後にも組織としての効率を追求していくには社員の心理的安定性も考えなければいけない重要な要素と言えるでしょう。
本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。