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会計

Vol.107 年末調整と給与計算 (2019年12月20日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.107━2019.12.20━

【ビズサプリ通信】

▼ 年末調整と給与計算

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ビズサプリの泉です。 師走となり令和元年も終わりに近づき、来年はいよいよ東京オリンピックの年です。特に今年は秋が短かったような気がしており、毎年行事となっていた花粉症も気づかないまま冬になりました。

私の業務対象となることが多いベンチャー業界では、資金調達について一部ピークを越えたという意見があるものの、相変わらず景気のいい話はよく聞きますし、IPO準備やM&Aのサポート業務も依然として堅調です。独立して約3年、来年40歳となることから今後のキャリアパスについて色々考えることが多くなりました。

さて、今回はこの時期におけるトピックである年末調整と給与計算について 考えてみたいと思います。

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■ 1.年末調整

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一般的な会社では毎月の給与計算を行うともに、年末に年末調整を行うこととなります。年末調整とは毎月の給与支給時に源泉徴収した所得税について、改めて年間で再計算を行い適切な金額となるように過不足額を計算、精算することです。 通常のサラリーマンは毎月の源泉徴収額のほうが多いため、還付されるため臨時のボーナスと感じることも人もいるかと思います。

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■ 2.給与関連の年末年始業務

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従業員からすると、給与関連の年末業務は年末調整のみにみえますが、会社の労務担当者としては実は年末年始に給与関連の業務が色々あります。

<年末>

年末調整 住民税の納期の特例による納付(対象会社の場合)

<年始>

法定調書の提出(税務署)

給与支払報告の提出(市区町村)

源泉所得税の納期の特例(対象会社の場合)による納付

支払調書の送付(義務ではない)

労務部門がある会社であればまだいいのですが、ベンチャーの場合、労務専門部門はなく管理部門に担当者1名の場合もあり、年末年始は大変あわただしくなります。

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■ 3.外部への委託

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社会保険、給与関連及び税務関連の業務は一定の専門性が必要となり、手続き周りは外部の専門家に委託する会社も多くあります。特に確定申告を税理士にお願いすることが多いため、税理士と顧問契約している場合は、年末調整を税理士に依頼することもあるかと思います。

給与計算、社会保険の手続きは社労士、確定申告、年末調整は税理士というのがよくあるパターンです。ただ、給与計算と年末調整は密接に結びついており、そこを分けてしまうと、

社労士:給与計算(年末調整前)→会社→税理士:年末調整→会社→社労士:給与計算(年末調整後)→会社:支払

といった煩雑なフローになってしまいます。なぜ、こんなことになってしまっているのでしょうか。

従来、社労士及び税理士の業務範囲が不明確であったところ、平成14年全国社会保険労務士会連合会と日本税理士会連合会が業務範囲を明確にするため、「税理士又は税理士法人が行う付随業務の範囲に関する確認書」を締結しました。

その確認書において、税理士は社会保険関連の届け出はできず、社労士は年末調整ができないことが明確化されました。 そのため、このような煩雑なフローとなっています。もちろん、給与計算は税理士でもできるため、給与計算及び年末調整を税理士にということも多いのです。ただ、ある程度入退社の多い会社だと月額変更届などの社会保険の諸手続きが発生しますので、給与計算を社労士に依頼するメリットも大きいと思います。

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■ 4.町の税理士

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私は税理士でもありますので、改めて振り返ってみたところ、一般的に従来型の税理士のクライアントとの関わり方は次のようなものです。

・自計化されている会社:月1往訪で2時間程度打ち合わせ、様子伺い

・記帳代行している会社:領収書、請求書を送ってもらって事務所で記帳、月1 往訪で2時間程度打ち合わせ、様子伺い

ただ、経営者が求めているのはこの業務なのでしょうか? 中小企業にとって町の税理士は社外管理部長であり、経営者が経営に専念する ためのサポートをするのがあるべき姿と考えています。特に今後AI化が進み仕事がなくなるといわれる中、単なる記帳やチェックではなく専門性を高めるとともに業務改善も含めたサポートを行っていくべきだと 個人的には考えています。

ビズサプリグループでは、通常の税務業務に加え業務改善に関するコンサルティング業務も行っておりますので、何かお役に立てることがありましたらご相談ください。 本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリー
会計
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執筆者
辻 さちえ
三木 孝則
庄村 裕​
花房 幸範​
久保 惠一​​
泉 光一郎

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