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Vol.55 ネットとリアルの融合 (2017年6月22日)

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【ビズサプリ通信】

▼ ネットとリアルの融合

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こんにちは。ビズサプリの花房です。

先日のニュースで、アマゾンがアメリカの高級スーパーのホールフーズを、1.5兆円で買収するという話が出ました。ホールフーズをご存知ない方もいらっしゃると思いますが、日本で言えば成城石井やスーパーの紀伊國屋みたいなもので、中高所得者層向けの大型スーパーと想像して頂ければと思います。ホールフーズは全米他で460店を展開し、売上高は157億ドルもある巨大スーパーです。

アマゾンはネットでの書籍販売からスタートし、あらゆるものをネットで販売する世界最大の小売店なのですが、最近はリアル店舗にも力を入れていて、これからのIT企業の方向性を示すものと言えます。体験するというリアルの良さと簡単手軽に時間を節約できるネットの良さを融合し、より顧客満足を高められるサービスを提供できるかどうかが、今後企業が存続していく秘訣のように思います。

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■ 1.RPAとは

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皆さんは"RPA"という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?これは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、分かりやすく言えば、「パソコンを使った定型的な繰り返し作業を、ソフトウエアのロボットに肩代わりさせて自動化する技術」と説明されています(「2017年5月23日付日経新聞電子版」より)。つまり、単純作業を自動で行うソフトウェアですが、その自動化する過程すらもAIの発達により、コンピュータが自分で開発していく、というわけです。

コンピュータはプログラムされた業務を高速で行うには長けていますが、行うべき業務やそのやり方を判断するのは苦手でした。AIの発達によって、今後はコンピュータが定型業務のパターンを学習し、それに見合ったプログラムを開発、処理を行ってくれるのであれば、人海戦術に頼っていた作業効率を何倍にもできる、ということになります。

この時に重要なのは、現状の業務をそのままソフトウェアに委ねるのではなく、そのプログラムされたロボットがいることを前提に、業務を再設計するということのようです。現状の業務フローを置き換えるだけでは、その一部業務をロボットに引き渡すための人手による作業というのが新たに生じ、逆に導入前よりも工数がかかってしまい、むしろ不効率になるということもあり得るからです。

しかしこの考え方はRPAだけにあてはまるものではなくて、システム導入全般に言えることです。システムは決まった作業を行うことは人間より得意なので、システムがどういうことが出来るかを分かった上で、業務プロセスを最も効率的に行うにはどのように現行の業務を変えたらいいか、改めてデザインし直さないと、真の効率化は図れません。

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■ 2.ゲームチェンジの時代

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ちょうど1週間前に、GEのCEOであるイメルト氏の退任が発表されました。在任期間は16年ということで、その間に就任時は金融に頼っていたGEを、再び製造業中心の会社に回帰しようとしてきました。目指す先は、「インダストリアル・インターネット」のビジョンを掲げて、IoTを駆使し、製造業とITの融合を目指していた過程にありました。そういう意味では道半ばという感じもしますが、GEのように人材とお金があっても、巨大すぎてスピード感を持った改革は難しいことの表れのような気がします。

最近のアメリカにおける時価総額の上位5銘柄は、アップル、グーグル(アルファベット、という持株会社で上場)、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンで、いずれもITで先行している企業であり、未だに成長に勢いがあります。イメルト氏就任の16年前はグーグル、フェイスブック、アマゾンは上場していませんでしたが、今やいずれも時価総額が2倍、3倍と、企業価値が完全に逆転し、企業の栄枯盛衰を表しています。

冒頭のアマゾンによるホールフーズの買収もそうですが、様々な業界でゲームチェンジが起きています。移動手段のウーバーしかり、宿泊施設ではAirbnb、自動車メーカーではテスラ、メディアではネットフリックス等、新たな事業モデルの誕生で、各業界で5年後、10年後の業界リーダーがどこになっているかすら、想像がつかない状況です(それが今はまだ誕生していない会社であることも十分あり得ます)。

これだけITによる技術革新を起点としたイノベーションが起きる中で、ビジネスモデルだけでなく、会社内部のオペレーションも、劇的に変わる可能性があります。RPAはその起爆剤となるかもしれません。なぜそう感じているかを次で説明します。

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■ 3.経理業務も人とロボットの棲み分けの時代が来る!?

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最近私が引き受けている業務改善の一環で、管理資料を効率化する仕事があります。業務を分析してみると、会計データを生成するプロセスで、元データをエクセルで加工するのに膨大な工数がかかっていることが分かりました。そこで、その手順を整理・再構築し、マクロを組み込んだところ、ある1つの作業で3日かかっていた作業が1時間で出来ることとなり、想定以上の効率化が図れたとのことで、クライアント様には大変喜んで頂きました。その他にも工数がか かっているエクセルでの加工作業がいくつかあり、現在はそれに取り組んでいるところです。

エクセルのマクロというのは、マイクロソフトが考えたプログラム言語(VBA)を使ってエクセル作業を半自動化するものですが、これには人間が専門知識を以って開発する必要がありました。これがAIのさらなる発展により、コンピュータがVBAをある程度の精度で自動で作ってくれるなら、大幅に人間の作業量を減らせますし、さらに精度が上がれば専門知識がなくても作業の自動化がすすめられますので、一気に広がる可能性があるのではと思ったのです。

経理業務の中でも制度会計に関わる部分は、最終成果物がルールに基づくものであり、定型化しやすいものが多いので、AIを使って実際の銀行取引記録から仕訳を自動生成するようなサービスが登場しています。そのうち、個人の立替経費を定型フォームに領収書を貼り付けてスキャンすれば、立替経費を自動精算してくれるシステムが出来るかもしれません。経費精算はそれなりに工数のかかる業務で現在はワークフローで行うのが主流になりつつありますが、それでも各個人が入力をしなければならないので、経理知識のない方が入れると間違いも起きやすく、入力や修正の手間もあるのですが、今後その作業が不要になる可能性があります。

経理業務がどんどんロボット(ここでロボットというのは物体としてヒト型をしているものと言うよりはソフトウェアです)に置き換わる結果、経理人員の仕事が減るのではないか、と思われるかもしれません。しかし、現在当たり前のように会計ソフトで伝票を記載していますが、従来はこれらを全て紙の伝票で書いて、転記し、ファイリングしていた作業が効率化しても、今度は会計システムのマスタ管理やアップデートのようなメンテナンスの仕事が増え、また検証作業は必ず必要なので、その作業は紙ベースの時代と比べて網羅的、効率的に行えるようになってはいますが、作業そのものがなくなっているわけではありません。

人は基本的に変化を嫌う部分がありますが、一方で単純作業は面倒なものです。また定型作業も飽きてきます。そのような作業部分はロボットに任せて、人はより付加価値の高い業務、特に管理会計についてはまだまだ人が関与すべき領域が大きい分野だと思っていますし、管理会計は何のための会計かと言うと、経営のための会計ですので、有用な分析結果や将来の見込みを経営者に提供していくことで、経理業務の価値を高めて行けると思っています。このような棲み分けをしていくことで、経理部門(だけではなく管理部門全般)のロボットとの棲み分け、ITとリアルの融合を模索していきたいものです。

ビズサプリグループでは、経理・財務業務の改善、業務再構築、システム導入支援、またご紹介したようなエクセル帳票の改良等も行っておりますので、ご興味ありましたらご相談頂ければと思います。 https://biz-suppli.com/menu.html?id=menu-consult

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリー
会計
内部統制
ガバナンス
不正
IT
その他
執筆者
辻 さちえ
三木 孝則
庄村 裕​
花房 幸範​
久保 惠一​​
泉 光一郎

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