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Vol.064 ICOの会計処理

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.068━ 2018.1.24━

【ビズサプリ通信】

▼ ICOの会計処理

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 こんにちは、ビズサプリの久保です。
先月のメルマガでは、仮想通貨の売買などの「取引」についての会計処理や
税務上の取り扱いについてお話ししましたが、今回は、仮想通貨による資金調達
であるICOについて考えてみることにしたいと思います。

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■ 1.ICOとは?

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新規上場の時に新株発行をして出資する人を募集するところから、IPO =
Initial Public Offering (最初の公開募集)は新規上場を意味します。
最近はICOInitial Coin Offeringが話題になっています。これは、Bitcoin
のような仮想通貨を使ったベンチャー企業による資金調達方法の一つです。
仮想通貨市場で、「トークン」と呼ばれるものを発行して、その代わりに仮想
通貨を調達するというものです。ICOのIはInitialですが、別に最初であるか
どうかは関係なく仮想通貨での資金調達がICOと呼ばれているようです。
米国では、filecoinという会社が280億円ぐらいを調達したとのことです。日本
でもCOMSAという会社が昨年10月から11月にICOを実施し109億円調達したそうです。
トークンを買った投資家は、どうするのかというと、市場でそれが値上がりした
ら売却して儲けるそうです。当然値下がりすることもあります。トークンは売買
できますので、株式市場での株式の売買に似ています。
一方、仮想通貨で資金調達した会社は、そのまま仮想通貨を持っていてもよい
のですが、資金として使うためには現金化することになります。

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■ 2.ICOで調達した資金は資本金か?

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株券とトークンは大きく違います。会社法上、株券の所有者は株主として一定の
権利が保証されていますが、トークンは民間の市場での取り決めだけしかあり
ません。
株式を発行すると会社の「資本金」となりますが、トークンを発行する会社で
は、調達額を資本金に計上することはできません。それでは、何になるのでしょ
うか。
「長期預り金」ではないかという人がいます。これは、1年以内に返金するもの
ではないので、長期の預り金であるという考え方です。
トークンは、ゴルフ会員券のように売却できる一種の有価証券という性格があり
ます。バブルの時は、ゴルフ会員券を売って儲けたり、または大損したりした人
も多かったと思います。ゴルフ会員権は、ゴルフ場の会社側ではどんな会計処理
になっているのでしょうか。
ゴルフ場の会社では、ゴルフ会員権は「長期預り金」になっています(古い
ゴルフ場は株券を会員に渡すこともありました。その場合は資本金)。会員が
脱退する時は、それを返金してもらうことができます。ゴルフ会員権を市場で
売却すると会員が変わります。その場合は、ゴルフ場は返金するのではなく、
書き換え料を徴収して会員名を書き換えます。書き換え料はゴルフ場の収益に
なります。
トークンは、ゴルフ会員権に似たところがありますので、長期預り金だという
人がいるのだと思います。ただし、ゴルフ会員権は、会員に返金する前提が
あるので長期預り金なのでよいのですが、トークンは返金する義務がないという
点が異なります。
このように議論が解決していないことから、会計処理基準が公表されていない
状況でした。しかし、ついに上場会社のメタップスという会社がICOをしま
した。これまでは、上場していない会社がICOをしており、監査法人の監査の
対象になるということはありませんでした。メタップスが最初に監査を受ける
ことになってしまったのです。
 
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■ 3.メタップスによる会計処理

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タップスは、8月決算の会社で昨年9月から11月までの第1四半期報告書を
45日後の1月15日に提出する必要がありましたが、その提出を延期しました。
これは監査人であるPwCあらた監査法人とのICOに関わる会計処理についての
意見調整が必要となったからです。この監査法人東芝の監査人でもあり、
提出延期になると、この監査法人が出てくるイメージもありますが、筆者の
考えすぎと思います。
タップスの韓国子会社が昨年9月から10月にかけてICOを実施し、当時の時価
で10億円を調達しました。これをどのように会計処理するかというのが、
タップス監査法人に突きつけられた問題です。前述のとおり、ICO
どのように会計処理したらよいかについての、会計処理基準がありません。
法的な整備もされていません。
タップスが1月15日の夜に提出した四半期決算短信とIRニュース(適時開示
情報)によれば、調達した資金を「前受金」に計上したとのことです。
四半期貸借対照表をみると、その他の流動負債が10億円程度増えています。
IRニュースには、「本ICOは、仮想通貨Pluscoin(PLC)の販売であり、本ICO
において受領した対価は将来的には収益として認識します。但し、収益認識の
方法やタイミングについては引き続き協議中」としています。ちなみに、仮想
通貨Pluscoin(PLC)というのはイーサリアムという仮想通貨をベースにした
トークンです。ベースになる仮想通貨によって、トークンにはいろいろと名前
がついているようです。ここでは、トークンも仮想通貨であると言っている
ようです。
この日に発表した決算説明のパワーポイントには、ICOで調達した10億円の
仮想通貨(イーサリアム)の時価が、その後5倍になったと書かれています。
前受金計上したときは10億円だったものが、今は50億円ということになりま
す。ちょっと整理すると、メタップスは「長期預り金」ではなく「前受金」
に計上しています。これは将来収益に計上する予定であるからである、とし
ています。この収益は、いつ頃、いくらで計上するのでしょうか。
ICO時の時価は10億円でしたが、メタップスがそのまま仮想通貨を持ってい
たら50億円になっていたということです。仮想通貨の販売なので収益である
としているので、多分10億円が売上高となり、それ以外に評価益が計上される
のかもしれません。提出が延期されている四半期報告書が提出されたら分かる
と思います。
仮想通貨でのICOは、収益であるとしているのは、メタップスの韓国子会社が
仮想通貨の販売業をしているからなのかもしれません。ICOによる資金調達は、
どんな場合も収益かというとそうでもないかもしれません。収益だったら課税
されますが、長期預り金には課税されません。大きな違いがあります。
PwCあらたさんは、東芝に対しては「結論不表明」を表明しています。監査
法人がこの手を使って結論を出さないという判断をした場合には、第1四半期
では決着がつかないということになります。収益計上されるのか、結局は別の
会計処理なのか、注目したいと思います。
 
本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

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